ロボットハンド(エンドエフェクタ)の種類とメーカーから選定ポイントまで

製造業や物流業をはじめ、研究分野や医療分野など、さまざまなシーンでロボットアームは活躍しています。ロボットアームの指先として、実際にワークに触れる部分がロボットハンド(エンドエフェクタ)です。ロボットハンドにはいくつか種類がありますが、それぞれどのような作業を行えるのでしょうか。この記事では、ロボットハンドの特徴や種類、選定時のポイントなどをご紹介します。

ロボットハンド(エンドエフェクタ)とは

人の手は、指先でものを掴んだり、道具を持って作業をしたりといった細かい作業を行えます。ロボットにおいて、人の指先に当たるのがロボットハンドです。ものを掴んだり吸着したり、ネジを回したりと、ロボットアームの先端に取り付けてワークに影響を与える部分なので、「エンドエフェクタ」とも呼ばれます。

ものを掴む用途のロボットハンドは、人の手の感覚に備わっている「適度な力加減で柔らかいものを掴む」動作が難しいとされていました。しかし近年は、触った感覚を電気信号に変換する触覚センサーが搭載されたロボットハンドも登場しています。 野菜や果物など、個々で柔らかさの異なるものも掴めるようになり、従来と比べ人の指先に近い繊細な作業も可能です。

ロボットハンドの種類

グリッパー(把持ハンド)

グリッパー(把持ハンド)は、人の指のような部分でワークを挟んで掴むハンドです。2本爪や3本爪、4本爪などのタイプがあり、ワーク形状や材質に合わせて、指先の形状やワークと接触する部分の素材を変えることもあります。 電動アクチュエータやエア、油圧などが駆動力で、掴む力や速さに応じて使い分けられます。

2本爪ハンドの製品例 ROBOTIQ 2F-85

ROBOTIQの2F-85は、世界で最も売れている協働ロボット用グリッパーーです。あらゆるアプリケーションを実現し、シンプルなプログラミングで短時間で稼働開始できます。

3本爪ハンドの製品例 ASPINA ARH305B

ASPINA電動ロボットハンドは、協働ロボット向けのエンドエフェクタで、大きなストローク、調整可能な把持力、中空構造などの機能を備え、電動ならではの細かな把持力調整で人の手のようにしっかり優しくつかみます。

吸着ハンド

吸着パッドにワークを吸い付けて持ち上げるハンドです。吸着パッドが空気を吸い込み真空状態を作り出すことで、ワークの吸着を行います。 電動吸引ポンプが一体になった吸着ハンドもありますが、そうでない場合はエアコンプレッサーを用いたエア制御装置が必要です。

吸着ハンドの製品例 ROBOTIQ EPick

コンプレッサー、エア用ホースの必要がなく、ロボットからの電気供給のみで使用可能です。 小型ワークのピッキングなどに適しています。

デュアルハンドの製品例 Onrobot VG10

VG10は、コンプレッサーもエア用ホースも必要なく、コンパクトなため移動も簡単で生産ラインに合わせて柔軟にお使いいただけます。

磁力ハンド

磁力によって、鉄や鋼といった磁性のある金属を持ち上げるハンドです。電流のオンオフを切り替えて、ワークを持ち上げたり離したりする動作を行います。 ただし、一部のステンレス鋼と、アルミや銅など多くの非鉄金属は磁性がないため、磁力ハンドを使用できません。

用途別専用ハンド

用途別に特化した専用ハンドもあります。溶接やネジ締め、液体を一定量ずつ注ぐ分注、紫外線照射など、さまざまな作業の専用ハンドが存在します。

用途別専用ハンドの製品例 Panasonic ロボテックインパクト

Panasonicのロボテックインパクトは、協働ロボットに接続可能な電動インパクトレンチです。低反力ながら高出力を実現し、ボルト締め作業の自動化をサポートします。

ロボットハンドの代表的なメーカー

ROBOTIQは2008年創業のカナダ企業で、協働ロボット向けエンドエフェクタを製造しています。多様なロボットと連携可能なグリッパーーやセンサーを提供し、中小企業でも導入しやすい設計が特徴です。
アダプティブ機構で多様な形状を把持でき、2本指・3本指や真空タイプも展開しています。ビジョンや力覚センサーと連携し、安全かつ精密な自動化を実現します。

OnRobotは2018年に複数企業の合併で誕生したデンマーク拠点のエンドエフェクタメーカーです。協働ロボット向けに、URCaps対応のプラグ&プレイ型グリッパーーやセンサー、ツールチェンジャーを提供し、導入・運用を簡素化します。
多様な形状や素材に対応する幅広いラインアップやQuick Changerによる迅速な工具交換で、多品種少量生産や複雑工程にも柔軟対応し、生産性向上に貢献します。

SCHMALZは1910年創業のドイツ本社を持つ真空技術の世界的リーダーで、真空ポンプや吸盤、ハンドリングシステムを製造業向けに提供しています。軽量・省エネ設計と高度な吸着技術を活かし、生産効率を向上させる製品を展開。
協働ロボット対応のプラグ&プレイ型真空エンドエフェクタは、安全性・操作性に優れ、多様な形状や重量のワークを安定把持が可能です。モジュール構造でカスタマイズ性が高く、規模問わず幅広い自動化ニーズに対応しています。

Piabは1951年創業のスウェーデン本社を持つ真空技術メーカーで、真空ポンプ・吸盤・グリッパーーを多産業に提供しています。独自のCOAX®テクノロジーにより高効率・省エネを実現し、コスト削減にも貢献。
協働ロボット向けプラグ&プレイ型ソリューションを展開し、短時間で導入が可能です。ロボットハンドは多様な形状を柔軟に把持でき、モジュール構造で吸盤形状や配置を容易にカスタマイズできます。

Panasonicは長年にわたり培ってきた精密制御技術とセンシング技術を活かし、産業用ロボットや自動化ソリューションを展開する日本を代表するメーカーです。高信頼性と省エネ設計を両立したエンドエフェクタやハンドリングシステムを通じて、製造現場の効率化と品質向上を実現しています。

シナノケンシ(ASPINA)は、1951年創業の日本発モーションテクノロジー企業で、精密モータや駆動システム、ロボット用エンドエフェクタを開発・製造しています。独自のモーション制御技術と高効率設計を活かし、コンパクトで高信頼な製品を通じて生産現場の自動化と省エネ化を支えています。

ロボットハンドを選ぶ際のポイント

ロボットハンド選定では、対象物の材質・形状に応じた種類選びが不可欠で、吸着は穴あきや磁力非対応材には不向き、磁力は磁性体限定かつ曲面に弱いなど制約があります。可搬重量は把持力過不足による落下や損傷を防ぐ調整が必要で、対象の硬度や外観品質も考慮します。安全性確保は前提で、作業効率や保守性も導入効果に直結し、交換容易性や予備機活用など稼働停止時間を最小化する工夫が重要です。

これらの選定ポイントを踏まえた一覧表を以下に作成しましたので、ご参照ください。

ロボットハンド選定ポイント一覧表

確認したいポイント適したハンド種類おすすめメーカーとその理由
対象物の材質や形状不定形・多様形状 → 把持(アダプティブ)
滑りやすい素材 → 吸着式
金属部品 → 磁力式
ROBOTIQは形状追従指、SCHMALZ・Piabは吸着パッドで滑り防止、磁力は金属専用。
把持できる可搬重量軽〜中量(〜5kg) → 協働ロボット用把持
吸着- 中〜重量(5kg〜) → 高把持力型
3FG15は高把持力、Piabは真空流量増で重量物対応。
対象の硬度や製品面硬い素材 → 把持・磁力
柔らかく変形しやすい → ソフトグリッパーー・低圧吸着
柔軟ワークは低圧吸着やシリコン指が変形防止に有効。
安全性協働ロボット向け低把持力制御型
低圧真空型
協働作業ではISO規格準拠の力制御・軽量化が重要。
作業効率工具交換が早い → ツールチェンジャー付
多用途対応 → モジュール構造
Quick Changerで工具交換時間短縮、モジュール構造で段取り替えが容易。
保守性消耗部品が交換しやすい
構造がシンプル
吸着式はパッド交換のみで復旧可能、ROBOTIQ・OnRobotはパーツ交換容易。

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