協働ロボット導入ガイド|導入手順、費用、事例を解説
近年、人手不足や生産性向上のニーズから、製造業を中心に協働ロボットの導入が加速しています。安全機能を備え、人と同じ作業空間で稼働できる協働ロボットは、省人化だけでなく品質安定や作業負荷軽減にも効果的です。しかし、導入には適切な手順と準備が不可欠であり、本体価格や周辺機器、システムインテグレーション、教育など多面的なコストも発生します。
本記事では、協働ロボット導入の流れや費用の目安、実際の活用事例を交えながら、スムーズかつ効果的に活用するためのポイントを解説します。
メーカー別の比較表がダウンロードできます
主要協働ロボットメーカー9社が取り扱う協働ロボットの特徴やスペックが一目で比較できる資料です。
主要メーカー:ユニバーサルロボット、テックマン、ファナック、安川電機、デンソーウェーブ、JAKA、AUBO、DOBOT、ABB
協働ロボットの導入手順
協働ロボットの導入は、省人化や品質向上、安全性確保など多くのメリットをもたらしますが、その効果を最大化するためには、事前準備と段階的な進め方が不可欠です。導入目的の明確化から現状分析、安全基準の確認、機種選定、設置計画、試運転、作業者教育、本稼働後の改善まで、成功するための8つのステップを具体的に解説します。
①導入目的と適用範囲の明確化
導入の目的と範囲を明確にして、プロジェクトの方向性を定めます。
- 目的設定:省人化、品質向上、安全性向上、作業負荷軽減などを明確にする
- 業務選定:協働ロボットに適した工程を特定(反復作業、小ロット生産、人と協働する作業など)
- ROI検討:投資対効果(導入費用 vs 生産性向上・人件費削減効果)を試算
②現状分析と課題抽出
現場の現状を把握し、課題や改善余地を洗い出します。
- 作業時間、作業内容、作業環境を観察・計測
- 作業者とのインタラクションや人員配置を確認
- リスク要因(安全距離、干渉、物理的障害物など)を洗い出し
③法規・安全基準の確認
適用される安全規格や法規制を確認し、遵守計画を立てます。
- 協働ロボットはISO 10218-1/-2やISO/TS 15066などの国際安全規格が適用
- 国内では労働安全衛生規則に基づき、リスクアセスメントが必須
- 必要に応じて安全柵、センサー、非常停止装置を設置
④ロボット機種と周辺機器の選定
必要な機能や仕様を満たすロボットと周辺機器を選定します。
- 主要選定基準:可搬重量、動作範囲、精度、プログラミング容易性、安全機能
- 周辺機器:エンドエフェクタ(グリッパー)、ビジョンシステム、治具、搬送装置など
- メーカー比較:UR、FANUC、安川電機、DOBOTなど
⑤レイアウト・設置計画
効率的かつ安全な配置を設計し、必要なインフラを整えます。
- CADやシミュレーションソフトで動作範囲・干渉チェック
- 作業者とロボットの動線を最適化
- 電源、通信、設置土台などインフラ整備
⑥プログラミングと試運転
ロボットに作業を教え、試運転で性能や安全性を検証します。
- 実作業を模したテスト運転(ティーチング)
- タクトタイムの最適化、エラー動作の確認
- 安全装置の動作確認(非常停止、速度制限、力制限)
⑦作業者教育と運用マニュアル整備
作業者が安全かつ確実に運用できるよう教育とマニュアルを整備します。
- 操作方法、非常停止手順、安全ルールの教育
- トラブルシューティング方法の共有
- メンテナンス計画の策定
⑧本稼働と継続改善
運用後も成果を測定し、継続的に改善を行います。
- 本稼働後、定期的にKPI(稼働率、不良率、生産性)をモニタリング
- 現場フィードバックを元に動作改善
- 新しい作業への適用や機能追加を検討
当社では、ロボットを活用した工場自動化をお考えの方へ、導入計画の立案から導入後の定着までをお手伝いする「ロボット導入トータルサポートサービス」を行なっております。協働ロボットレンタルサービスやロボット教育・研修サービスの提供もしており、はじめてのロボット導入でも安心です。
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協働ロボットの導入費用
協働ロボットの導入には、本体価格だけでなく、周辺機器やシステム構築、人材教育など多岐にわたる費用が発生します。性能や仕様によって価格帯が大きく変動し、導入後の運用にも継続的な投資が必要です。
協働ロボット本体の価格
協働ロボットの価格は性能やサイズ、メーカーにより異なり、一般的に100万~600万円程度です。動作速度や精度、可搬重量が高いほど高額になるため、使用環境や要件に合わせて仕様を決める必要があります。
周辺機器の価格
協働ロボットを稼働させるには、グリッパーやセンサー、架台などの周辺機器が必要で、条件や機能によって価格が変わります。さらに、製造ライン構築時にはベルトコンベアや加工機、PLC連携などの設備費も考慮する必要があります。
システムインテグレーションにかかる費用
システムインテグレーション費は、協働ロボットを現場で稼働させるための設計・製作・据付・調整・ドキュメント整備までを含む費用です。動作の難易度によって金額は変わり、単純な動作なら本体価格の50〜100%程度、複雑な動作では400〜600%に達する場合もあります。
人材の教育・育成の費用
協働ロボットは産業用ロボットよりティーチングが容易ですが、運用には専門知識が必要です。メンテナンスフリーとされるものの、自己点検は推奨され、トラブル対応できる人材も求められます。そのため、使用・管理方法を習得する担当者の教育や育成にも費用がかかります。
協働ロボット導入におけるコストに関しては以下の記事でも詳しく解説しています。協働ロボットの導入と運用に必要なコストの目安や、導入のメリットとコストのバランスに関する判断の仕方についてご紹介している他、協働ロボットを低価格で導入する方法もご紹介していますので、ぜひご覧ください。
協働ロボットの導入事例
協働ロボットの導入は、人手不足の解消や生産性向上に大きく貢献します。具体的な事例として、金属加工と釘打ち作業という異なる分野で自動化を実現した2つの事例を紹介します。現場の課題解決と効果的な自動化のヒントが詰まった導入事例です。
協働ロボットによるマシンテンディングで金属加工を自動化

エアネイラを使用した釘打ち工程を協働ロボットで自動化

協成産業株式会社様では、空調用エアフィルター部材の釘打ち工程を協働ロボット(ユニバーサルロボットのUR10e)に置き換える自動化を実現しました。
専用のロボットハンドとアルミフレーム架台を開発し、従来は手作業で行われていたフィルター枠とスチロール樹脂板の釘打ちを複数教示ポイントでロボットが順次実行する方式です。これにより、作業の自動化と効率化につながりました。
協働ロボットや周辺機器の導入内容
作業用途:釘打ち
納品までのリードタイム:約2ケ月
納入商品:UR10e、 専用特注ハンド、専用アルミフレーム架台
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