AMRメーカーを徹底比較|搬送重量や導入環境別のおすすめロボット

工場や倉庫内の搬送を自動化する手段として、AMR(自律走行搬送ロボット)の導入が広がっています。AMRは、磁気テープなどの固定された誘導体に頼らず、周囲の状況を認識しながら目的地まで自律的に走行できるロボットです。

一方、AMRはメーカーや機種によって、搬送できる重量、本体サイズ、誘導方式、停止精度、段差への対応力、設備との連携方法などが大きく異なります。最大積載量だけを見て選ぶと、通路を通れない、設備との受け渡し位置が合わない、現場で設定を変更できないといった問題が起こる可能性があります。

本記事では、主要なAMRメーカーを、総合パフォーマンス、小型・省スペース、重量物搬送、導入・運用のしやすさ、段差・床面環境、高精度な停止、既存設備との相性という7つの視点から比較します。搬送物や使用環境に合ったAMRを選ぶための参考としてご活用ください。

メーカー別の比較表がダウンロードできます

主要AMRメーカー7社が取り扱うAMRの特徴やスペックが一目で比較できる資料です。

主要メーカー:YOUIBOT、MiR、IPLUS MOBOT、Preferred Robotics、Keigan、シナノケンシ、THK

「総合パフォーマンス」でおすすめのAMRメーカー

AMRの総合パフォーマンスを比較する際は、最大積載量や走行速度だけでなく、製品ラインナップ、停止精度、誘導方式、上部モジュール、フリート管理、外部システムとの連携性まで確認する必要があります。

特定の工程に適した機種だけでなく、小型搬送から重量物搬送まで対応できるメーカーを選ぶことで、導入後に対象工程を広げやすくなります。ここでは、製品の選択肢とシステムとしての拡張性を総合的に評価しやすい3社を紹介します。

YOUIBIT

YOUIBOTは、小型搬送から1tを超える重量物搬送まで対応する幅広い製品を展開しています。リフト型やプラットフォーム型があり、工程間搬送や設備への部品供給など、用途に合わせて選定できます。

SLAMとQRコードを組み合わせた高精度な位置決めや、複数台のフリート管理にも対応しており、搬送工程を段階的に拡大したい場合に適しています。

MiR

MiRは、部品や台車の搬送からパレット・重量物搬送まで対応するAMRメーカーです。上部モジュールが豊富で、牽引やリフト、コンベア搬送など、用途に応じた構成を検討できます。

1台から導入し、将来的に複数台運用や工場全体の搬送自動化へ拡張しやすい点が特徴です。

IPLUS MOBOT

IPLUS MOBOTは、リフト型、牽引型、全方向移動型など、多様なAMRを展開しています。小型部品から2,000kgクラスの重量物まで、幅広い搬送に対応できます。

高精度なドッキングにも強く、生産設備やコンベアとの自動受け渡しを含めたシステムを構築したい場合に向いています。

「小型・省スペース」でおすすめのAMRメーカー

工場や倉庫では、既存設備の間や作業者が通る通路をAMRが走行することがあります。そのため、最大積載量だけでなく、本体の幅や旋回に必要なスペース、最小通過幅を確認することが重要です。

特に、部品箱や小型ワークの搬送では、大型AMRを導入するよりも、小型で小回りの利く機種を選んだ方が現場へ組み込みやすくなります。ここでは、狭い通路で運用しやすく、一部工程から導入を始めやすいメーカーを紹介します。

Preferred Robotics

Preferred Roboticsは、狭い通路を走行しやすいコンパクトなAMRを展開しています。専用の棚やワゴンと連結し、部品箱や資材を搬送できます。

既存レイアウトを大きく変更せず、手押し搬送の一部から自動化したい場合に適しています。

Keigan

KeiganのAMRは、コンパクトな本体と小回りの利く走行性能が特徴です。棚やアルミフレームなどを搭載し、搬送物に合わせた構成を作れます。

狭い工程内で使用できる小型AMRを、自社の設備や用途に合わせてカスタマイズしたい場合に向いています。

シナノケンシ

シナノケンシのAspinaAMRは、日本の製造現場に多い狭い通路での運用を想定しています。省スペース性を保ちながら、100kgから300kg程度の搬送に対応します。

工場内の部品や材料搬送を、1台から段階的に自動化したい場合に検討しやすいAMRです。

「重量物搬送」でおすすめのAMRメーカー

パレット、金型、大型部品、原材料などの重量物を搬送する場合は、最大積載量だけでなく、搬送方式にも注意が必要です。

AMRの上に直接荷物を載せる方法のほか、台車やラックの下に潜り込んで持ち上げる方法、台車を後ろから牽引する方法、コンベアを使って荷物を受け渡す方法があります。既存の台車やパレットをそのまま使用できるかも含めて比較しましょう。

IPLUS MOBOT

IPLUS MOBOTは、1,000kgを超える重量物に対応するAMRを豊富に展開しています。リフト型や牽引型に加え、前後左右へ移動できる全方向型も選択できます。

大型部品やパレットを、狭い場所で正確に位置合わせして搬送したい場合に適しています。

YOUIBIT

YOUIBOTは、300kgから1,500kgまで複数の積載クラスを用意しています。台車やラックの下に潜り込み、持ち上げて搬送するリフト型AMRが中心です。

重量の異なる搬送物を同じメーカーの製品で統一し、複数工程へ展開したい場合に向いています。

MiR

MiRは、600kgや1,350kgの搬送に対応する重量物向けAMRを展開しています。大型部品やパレット搬送、フォークリフト作業の置き換えにも活用できます。

安全機能やフリート管理も充実しており、人とAMRが混在する工場内で重量物を搬送したい場合に適しています。

「導入・運用のしやすさ」でおすすめのAMRメーカー

AMRの導入では、走行性能と同じくらい、現場で設定や運用を行えるかが重要です。経路や目的地を変更するたびに専門業者の作業が必要になると、導入後の運用コストが増加します。

マップの作成方法、目的地の追加、搬送指示の出し方、バッテリー交換、トラブル発生時の復旧方法などを確認し、現場担当者が扱える範囲を明確にしましょう。

Preferred Robotics

Preferred RoboticsのAMRは、専門的なプログラミング知識がなくても運用しやすい設計です。専用の棚やワゴンを使用するため、複雑な設備を構築せずに導入できます。

一つの搬送工程からスモールスタートし、効果を確認しながら活用範囲を広げたい場合に向いています。

シナノケンシ

AspinaAMRは、簡単に導入でき、1台から運用を始められることを特徴としています。国内メーカーのため、導入時や運用後の相談を行いやすい点も利点です。

AMRを初めて導入する企業や、現場での立ち上げに不安がある企業に適しています。

Keigan

KeiganのAMRは、スマートフォンやタブレットからマップ作成や走行設定を行えます。バッテリーを交換して運用を継続できるため、長時間稼働にも対応しやすい設計です。

簡単に運用を始めながら、将来的には設備連携や複数台運用へ拡張したい場合に向いています。

「段差・床面環境への対応」でおすすめのAMRメーカー

AMRの走行性能は、カタログ上の速度だけでは判断できません。工場や倉庫の床には、段差、溝、傾斜、グレーチング、凹凸などが存在することがあります。

搬送物を積載すると、空荷の場合よりも段差を越えにくくなり、停止距離や旋回時の安定性も変わります。導入前には、実際の搬送物を載せた状態で試走を行うことが重要です。

THK

THKのSIGNASは、コンクリートやアスファルト、グレーチングなど、床面条件の異なる場所での走行を想定しています。段差や溝、傾斜にも対応できる点が特徴です。

床面工事が難しい現場や、屋内外をまたいで搬送したい場合に適しています。

MiR

MiRの重量物向けAMRは、段差や床面の変化を考慮した設計となっています。工場や倉庫での豊富な導入実績があり、さまざまな床面環境で活用されています。

重量物を積載した状態で、一定の段差を越えて搬送する必要がある場合に候補となります。

Preferred Robotics

Preferred RoboticsのAMRは、コンパクトながら小さな段差や傾斜に対応できます。工場や倉庫内のスロープを通りながら、棚やワゴンを搬送できます。

省スペース性と一定の走破性を両立した小型AMRを探している場合に向いています。

「高精度な停止・ドッキング」でおすすめのAMRメーカー

AMRが目的地付近まで到着できても、停止位置がずれると設備との自動受け渡しができません。コンベア、ロボットアーム、加工機、自動倉庫などと連携する場合は、通常走行時の停止精度とは別に、ドッキング時の位置決め精度を確認する必要があります。

必要な精度に応じて、SLAMだけで停止するのか、QRコード、マーカー、ライントレースなどを併用するのかを検討しましょう。

IPLUS MOBOT

IPLUS MOBOTは、レーザーSLAMやカメラなどを組み合わせ、高精度なドッキングに対応しています。AMRと設備の位置を合わせ、自動で荷物を受け渡す用途に適しています。

特に、大型ワークやパレットを生産設備の前へ正確に配置したい場合に向いています。

YOUIBIT

YOUIBOTは、通常走行ではSLAMを使用し、設備付近ではQRコードを併用して停止精度を高められます。柔軟な経路変更と高精度な位置決めを両立できます。

台車やラックの受け渡し位置を一定に保ちたい工程に適しています。

THK

THKのSIGNASは、床面付近に設置したサインポストをカメラで認識し、決められた経路を走行します。必要に応じてライントレースや磁気誘導も組み合わせられます。

複雑な地図作成を行わず、設定した経路と停止位置を安定して再現したい場合に向いています。

「既存設備・現場運用との相性」でおすすめのAMRメーカー

AMRは、単体で走らせるだけでは搬送自動化が完結しない場合があります。PLC、コンベア、自動扉、エレベーター、加工設備、WMS、MESなどと連携し、搬送指示や荷物の受け渡しを自動化する必要があります。

一方、すべての現場で大規模なサーバーや無線ネットワークを用意できるとは限りません。既存設備の構成や社内のセキュリティ方針を踏まえ、適切な連携方法を選ぶことが重要です。

THK

SIGNASは、サインポストを使って走行するため、地図情報や常時接続のWi-Fiがなくても運用できます。通信環境に制約がある工場にも導入しやすい構成です。

既存設備を活用しながら、システムを過度に複雑化せず搬送を自動化したい場合に適しています。

Keigan

KeiganのAMRは、GPIOやLAN、Wi-Fiなどのインターフェースを備えています。APIも用意されており、PLCや自社開発設備との連携が可能です。

既存設備に合わせて、比較的小規模な搬送システムを柔軟に構築したい場合に向いています。

シナノケンシ

AspinaAMRは、外部システムと連携するためのAPIを備え、エレベーターや周辺設備との接続にも対応できます。複数台運用への拡張も可能です。

国内メーカーによる導入支援や保守を受けながら、既存工程へAMRを組み込みたい場合に適しています。

AMRメーカーを比較するときのポイント

AMRメーカーを比較するときは、スペック表だけで候補を決めるのではなく、実際の搬送物や現場環境を整理する必要があります。

まず、搬送物の重量、寸法、重心、荷姿、搬送頻度を確認します。同じ100kgの荷物でも、AMRの上へ直接積載する場合と、棚や台車を持ち上げる場合では、必要な機種が異なります。

次に、通路幅、旋回スペース、段差、傾斜、床面状態を確認します。カタログ上の本体幅が通路に収まっていても、安全距離や障害物回避のための余裕を含めると走行できないことがあります。

設備と自動で荷物を受け渡す場合は、停止精度や通信方式も重要です。通常のSLAM走行だけで必要な位置精度を満たせるのか、QRコードやマーカーなどの補助が必要なのかを確認しましょう。

また、複数台運用を予定している場合は、フリート管理機能も比較します。渋滞回避、充電管理、優先順位の設定、設備との連携など、台数が増えるほど管理システムの重要性が高まります。

最終的には、候補となるAMRを実際の現場で試走させることが重要です。荷物を積載した状態で、通路、段差、設備前の停止、作業者とのすれ違いなどを確認し、安定して運用できるかを判断してください。

用途や現場環境に合ったAMRメーカーを選ぼう

AMRは、メーカーによって得意とする搬送重量や使用環境が異なります。

小型部品や棚を狭い通路で搬送する場合は、省スペース性や操作のしやすさが重要です。一方、パレットや大型部品を搬送する場合は、最大積載量に加えて、リフトや牽引などの搬送方式、床面への対応力を確認する必要があります。

また、コンベアや加工設備と連携する場合は停止精度、既存のPLCや生産管理システムと接続する場合はインターフェースやAPIも重要な比較項目です。

特定のスペックだけでメーカーを選ぶのではなく、搬送物、走行環境、設備連携、運用体制まで含めて比較し、自社の現場に合ったAMRを選定しましょう。

メーカー別の比較表がダウンロードできます

主要AMRメーカー7社が取り扱うAMRの特徴やスペックが一目で比較できる資料です。

主要メーカー:YOUIBOT、MiR、IPLUS MOBOT、Preferred Robotics、Keigan、シナノケンシ、THK